三島に住む人たちが集まって自分たちの手で映画作りをしているということで、エルスリーもちょっとだけそのお手伝いをさせていただきました。
「みしまびと」ってどんな人たちなのでしょう?なぜそこに人が集まるのでしょう?
今回はそんな「みしまびと」について取材しました。
河田 亮一さん NPO法人みしまびと 事務局長(以下、河田さん):「地域の未来をつくる人をつくる人=みしまびと」です。「みしまびと」プロジェクトは「この地域を元気にしたい、活性化したい」という想いを持った人たちが集まってスタートしました。
地域活性化の策として「東京から三島にドラマを誘致してくる」という案が出たのですが、せっかくなら誘致じゃなくて自分たちの手でやりたいねという話になったんです。映像を使って街を元気にするというアイデアはいいなと思ったので、地域の人たちと一緒に映画を作ってみることにしました。映画作りは人との出会いを生み出し、地域の魅力について考える場を提供し、できあがった映画は世界にむけて三島の魅力を発信するツールになります。
--スタート時点で「みしまびと」メンバーは何名でしたか?
河田さん:4名くらいですね。
--現在では500名以上の方がメンバー登録されているそうですが、どのように集まったのでしょうか?
河田さん:「映画作りをして街を活性化しよう!」と知り合いに声をかけていましたが、そんなにすぐに人は集まらなかったですね。岐阜県の市民グループが中心となって制作した映画に「ふるさとがえり※」という作品があるのですが、それを私たちの映画制作のお手本にしていました。まずはその「ふるさとがえり」の上映会という名目で人を集めました。
※映画「ふるさとがえり」
岐阜県恵那市の市民グループを中心に制作された映画。
平成16年10月、岐阜県恵那市と岩村町、山岡町、明智町、串原村、上矢作町が合併して新恵那市が誕生。合併により、形の上では一つになっても地域や心の交流はなかなか進まない。そこで市民グループを中心に、人々の融和を目指した「映画制作によるまちづくりプロジェクト」を始める。この映画制作に関わった市民は数千人にのぼる。
河田さん:2014年7月の「ふるさとがえり」上映会を「みしまびと映画制作プロジェクト」のキックオフと位置づけ、「三島でもこういう映画を作っていきます!」という宣言をしました。その時に200名ほどの方々に集まっていただきました。
--そのショートフィルム制作をきっかけに宮澤さんは参加されたんですよね?
宮澤 友和さん NPO法人みしまびと 上映チームリーダー(以下、宮澤さん):僕はだまされてみしまびとのメンバーになった様なものですよ(笑)「制作に人手が必要だから手伝ってくれ」と呼ばれて行ってみたら、実はお手伝いではなくて出演者のオーディションだった!みたいな。他のみなさんも、結構そうやって集められたみたいですけど…(笑)
宮澤さん:正直、当初は「みしまびと」のことをあまりよく理解しないままお手伝いを始めてしまいました。いきなり呼び出されたし、オーディションには結局落ちたし(笑)撮影の裏方の仕事って大変なんですよ。最初の仕事は撮影のために通行している車を止めることでした。早朝の大社前でインカム渡されて、さぁやってって。でも完成して上映された作品を観た時、あの時に自分が関わった作品が出来上がったんだという感動と喜びがありましたね。
宮澤さん:今では「みしまびと」の活動は楽しいですよ!メンバーが親しみやすくていい人ばかりなんです。初対面でも良くしてくれるし、コミュニティーが広がりましたね。今までお付き合いがなかった人たちと友達になれたし、出会いの場としてすごく魅力的です。
河田さん:映画を作ることって、楽しいだけじゃなくて大変で理不尽なこともたくさんあるんですよ。天気待ちをしたり、人や車を止めたり、人に頭を下げたり…。イライラすることがたくさん。でも作品を作ってよかったなと思ったのは、短い制作期間の間に苦労をみんなで共有できて一瞬で距離が近づいたこと。苦労のその先に作品という楽しみや喜びがある。後になって「あのときこういうことがあって大変だったよね」ということをみんなで語り合えるんです。そうやって完成した映画が「惑う After the Rain」です。
--國原さんが「みしまびと」に参加されたタイミングは?
國原 優子さん NPO法人みしまびと つながるプロジェクトチームリーダー(以下、國原さん):私もオーディションに呼ばれて行きました。オーディションには落ちたんですけど、人手が足りないからということで正式なメンバーになりました。
河田さん:「ふるさとがえり」上映会でのキックオフ後にはまず、脚本家の栗山宗大さんとの座談会を開催しました。三島の良さや三島の未来像などを気軽に話し合い、それをシナリオ制作に活かしました。その後、映画作りを体験する「1日映画制作ワークショップ」を開催したりして、徐々にみなさんへの認知を広げていきました。
宮澤さん:2015年5月に開催した公開オーディションには地元の方たちだけでなく、本気で役者をやっているプロの方、劇団員の方、東京の方にもお越しいただきました。エキストラは地元の一般の方々にお願いして、出演者は全部で200名くらいでした。
國原さん:映画制作は朝の食事作りから始まります。朝6時半くらいから各家庭で作ったものを現場に届けるところからスタート。お昼は地元の女性たちとかみしまびとメンバーのキッチン班の人たちが集まって作ってくれました。何十人分も…すごいですよね。
國原さん:色々な企業を訪問して自分たちの想いを相手に伝えようと必死に説明していると、だんだんと自分のやっていることに確信・自信が持てるようになってくるんですよ。大変でしたけど、それはすごくよい経験だったなと思います。
それから、人との新たな関わりを築くことができましたね。私の仕事は化粧品の代理店業なんですけど、お客様との触れ合いもあるし、口コミで新しい方を紹介していただくこともあるし、元々出会い自体は結構多い方だと思っていました。でも「みしまびと」の中での人との関わり方ってまた違うんですよね。色々な立場、役割の人がいるんです。経営者、仕事を引退した人、主婦、若い人。色々な人が集まっているのに、共通の価値観や目指しているものがあって一つになれる。アメーバみたいに動きが自由で、かたまらなくて、偏らなくて。
--映画作りを通して「みしまびと」の目標である「地域の未来をつくる人をつくる」ということは達成されましたか?
宮澤さん:まだ達成はしていないですね。スタートしたばかりだと思います。今は映画作りを通して人が集まったという段階。これからその人たちとこれから集まってくる人たちと何をしていくか、考えているところです。まだ『「みしまびと」は始まったばかり』です。
--「みしまびと」に興味を持ってくださった方へのメッセージをお願いします。
河田さん:自分の知っている人、知っている場所が登場するかもしれないので、映画をまず見てほしいですね。プロジェクトへの関わり方は人それぞれでいいと思うんです。組織運営に携わるのかプロジェクトに関わるのか。具合も色々で。どっぷり参加してもらっても、自分の都合がつく日だけ参加してもらってもOKです。
「みしまびと」の次のステップとして、我々だけではなく地域の人が参加できる拠点のようなものを作りたいと思っているところです。でも今はそれ以前の、やらなきゃいけないことに追われていて…。本来の「みしまびと」は地域の課題に純粋に向き合える組織のはずなんですが、周囲の期待値が大きくなってうまく動けなくなっている状態です。やりたくてもがいているところ。でも、メンバーと一緒に必ず次のステップに進めると信じています!
自分たちで作り、自分たちで運営し、自分たちで育てていく。
「みしまびと」は地域の魅力を発掘し世界に発信する「街づくり」だけでなく、人々との交流や「人づくり」に役立つ成長の場を提供しているチームです。みなさんもそんなチームの一員、「みしまびと」になってみてはいかがですか?
映画「惑う After the Rain」 2017年1月21より全国順次ロードショー。 公開劇場情報はこちら。 http://madou.jp/ エルスリーのトレーナーLloydも出演! NPO法人みしまびと https://www.mishimabito.com/ |