三島について、故郷カナダについて…Jimの目を通して、Jimの言葉で綴っていきます。
今回は、三島市国際交流協会(MIRA)の広報誌「MIRA通信」に連載中のエッセイ「JIMのみしまものがたり」第17回(No.105に掲載)をご紹介します。
裏庭からは、はるかヨーロッパ大陸へと続く大西洋を見渡すことができました。毎朝力強い色彩を放ちながら昇る朝日を眺めては、水平線のかなたにいる自分の同志について想像を膨らませたものです。
夏には魚釣りや水泳、そして冬にはスケートや穴釣りが楽しめる池が自宅の前にあっただけでなく、やがては大西洋に合流する急流の川やせせらぎなどが身近にありました。
夜の静けさの中から聞こえてくる、小川のさらさらと流れる音や砕け散る波の音。陽が昇ったら、川の流れの行き着く先を求めて川沿いに続く道をどこまでも歩いたこともありました。流れを追いながらようやく大西洋の端っこで行き止まると、水自身は人間がつけた川、池、海などの呼び名を知っているのかなとか、他の仲間と交わったときはどうなるのかなとか、子どもらしい好奇心で考えを巡らせたのでした。
ここ三島で生活し始めてからも、水に囲まれていることを日々実感しています。
澄みきった富士山の雪どけ水が菰池、桜川、御殿川、楽寿園の小浜池や源兵衛川、宮さんの川に流れ込み、長い年月をかけて、この街を創り上げてきました。人々が生活や手工業に欠かせない水をふんだんに利用できたからです。
リラックスしたくなった時、私はこれらの水路沿いを散策します。子どもの頃のように、水の流れていく先や、交わるところを発見したくて。
私のお気に入りの水スポットをひとつ挙げるとしたら、三嶋大社でしょうか。正面の大鳥居をくぐり参道を歩くと、橋が見えてきます。橋の上から左右を見ると、東西に池があるでしょう。厳島神社側の西の池は富士山からの雪どけ水、宝物館側の東の池は箱根山からの湧き水。それらがちょうど足元にある橋の下で交わっているのです。
三島は何世紀にもわたり、旅の途中で人と人が出会う宿場町、そして三嶋大社の門前町として存在してきました。そんな街を三島の水は象徴しているように思いませんか。
MIRA = Mishima International Relations Association。
三島市民と外国の人々との友好親善をテーマに、さまざまな交流を通じ国際化時代にふさわしい三島市のまちづくり人づくりに貢献することを目的に、活動しています。
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