LIFE in Mishima
三島について、故郷カナダについて…Jimの目を通して、Jimの言葉で綴っていきます。
今回は、三島市国際交流協会(MIRA)の広報誌「MIRA通信」に連載中のエッセイ「JIMのみしまものがたり」第7回(No.96に掲載)をご紹介します。
桜の季節が近づいてきました。皆さん今年も桜の開花を今か今かと楽しみにしているのではないでしょうか。あなたのお気に入りのお花見スポットはどこですか?私のお気に入りは三嶋大社の夜桜です。毎年、桜の時期には幻想的な夜の散歩を楽しんでいます。
今日は、どこか新しい場所でお花見をと考えている方に、とっておきの場所をご紹介したいと思います。私がおすすめしたいのは、私の生まれ故郷「カナダ」です!
カナダと聞いて多くの方が思い浮かべるのは、ウィンタースポーツや厚い雪に覆われた山々だと思います。しかし実は、 カナダでも春には桜が咲き、人々はお花見を楽しんでいるのです。そして、毎年 何万人という桜ファンを魅了している2つの大きなお花見イベントが開催されています。
その一つが、日本から最も近く成田から直行便で約9時間、カナダ最西部に位置するブリティッシュ・コロンビア州で開催されている「バンクーバー桜まつり」です。今年は3月21日から4月17日まで開催されます。2005年から始まったこの桜まつりですが、日本からバンクーバーへ初めて桜が渡ったのは今から約80年も前の1930年代。神戸市と横浜市から寄贈された500本の桜を、バンクーバーの有名なスタンレーパークに植えたのが始まりです。1958年にはさらに300本の桜の木が日本領事から寄贈され、今では55種、4万本以上の桜の木が毎年バンクーバーの人々を楽しませています。興味深いことに、並木道の長さ、木々の密集度、ピンクのトンネルの美しさ、背景となる風景、そして交通の便によって選ばれる「桜の見どころ21選」というランキングまで存在しています。バンクーバーの温暖な気候と、開花時期の異なる品種が揃うことから、2月から4月頃まで長期間桜を楽しめるのも特徴です。
次におすすめするのは成田から約14時間、トロントにあるハイパークです。1959年4月1日、当時の駐カナダ日本大使の萩原徹氏が、2000本のソメイヨシノを東京都を代表してトロント市へ贈ったことが始まりです。その後、在トロント日本国総領事館とトロント市とが協力し、日本の象徴ともいえる桜の木をオンタリオ州へ広め日本とカナダの友好を深めようという「桜プロジェクト」が進められました。それ以降、毎年満開の花を咲かせるハイパークの桜は、長く厳しい冬を越すトロント市民の楽しみの一つとなっています。
そして最後にもう一つ、カナダの春に美しい桜の花を咲かせる場所があります。厳しい寒さと植物の成長には適さない土壌にもかかわらず必死に成長を続け、その過酷な環境から育った木はとても細く、数メートルの高さしかありません。それでもなお堂々と立つその1本の桜の木は、私の故郷ニューファンドランドに住む、いとこの家の裏庭にあります。おそらくカナダの中でも数人しか知らない、秘密の場所です。もともと園芸に興味があったいとこが、自宅でも美しい桜を楽しみたいと願い、なんと実現させたのです。
今年のお花見ではぜひ、遠く離れたカナダでも、私たち と同じように桜を楽しんでる人々がいることを思い出してください。そして俳諧師小林一茶(1763年6月15日-1828年1月5日)の有名な一句、「桜の下ではみな兄弟だ。」という句を思い出してください。
※三島市国際交流協会(MIRA)
MIRA = Mishima International Relations Association。
三島市民と外国の人々との友好親善をテーマに、さまざまな交流を通じ国際化時代にふさわしい三島市のまちづくり人づくりに貢献することを目的に、活動しています。
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