アスルクラロ(azul claro)という名前はスペイン語の青(azul)と、明るい(claro)ということばに由来しています。チームカラーは鮮やかな青色。
2017年12月3日に行われたJ3優勝をかけた試合には、県内外から8,649人もの観客が集まりました。多くの観客を集めるチームですが、まだ資金が十分にあるというわけではありません。選手の8割はサッカーとそれ以外の仕事とを掛け持ちしている状態。試合の運営はクラブスタッフだけでなく、ボランティアのサポートスタッフの力にも支えられています。今回はサポートスタッフとしてボランティアでチームを支える村田英二さん、そしてチームの運営会社であるアスルクラロスルガ株式会社 運営担当の岩田恵典さんにお話をうかがいました。
元々サッカーが大好きで、会社の昼休憩に同僚とサッカーをしたり、週3で海外サッカーの試合をテレビで見たりしていました。アスルクラロ沼津との出会いは2014年です。アスルクラロ沼津というチームがJFL(日本フットボールリーグ:J3の一つ下のアマチュア最高峰リーグ)に昇格したという記事を読んで衝撃を受けたんです。サッカー好きなのに、地元であるこの静岡県東部にチームがあることを知らなかったし、そのチームがJリーグにすぐ手が届きそうなところで頑張っているなんてことも知らなかったんです。
そのうちゴール裏にいるサポーターのみなさんと顔見知りになって、声をかけられるようになったのがサポーターとしての第一歩でした。はじめの頃は「大声で歌うなんて恥ずかしい…」と思っていたんですが、そのうちに「恥ずかしいと思うことの方が恥ずかしいんだ!」と思うようになって(笑)今では大声で応援して、歌って、時にはみんなで踊って。車に乗り合わせてアウェイ戦の応援に行ったり、仲間と飲みに行ったりするようになりました。
――サポーターだった村田さんが、サポートスタッフというボランティア活動をするようになったきっかけは?
サポーターとして応援を始めて3年半、その間にサポートスタッフというボランティアのみなさんがいることは知っていたし、試合観戦を楽しめるのはその人たちのおかげだということもわかっていました。2017年の春にJ3リーグに参戦するようになって知名度は上がったのに、サポートスタッフは変わらず人手不足のままだとも聞いていました。そのうちに「自分だけ単純に試合を楽しんでいて申し訳ない」という思いが湧いてきました。自分がサポートスタッフの一員になることで、他のサポートスタッフの負担を少しでも減らすことはできないだろうかと思うようになったんです。
そこで2017年の夏からホームゲームのサポートスタッフとして活動を始めました。
――サポートスタッフの活動内容は?
試合前日から準備が始まります。事前にスタジアム内に選手や審判の控室を設営して、当日はチケットのもぎり・入場者の荷物チェック・総合案内・グッズ販売などを担当します。
ボランティアのサポートスタッフと言えど、試合後には反省会ミーティングを行い、観客のみなさんにどうやったらより喜んでもらえるのかなどを話し合って、真剣に取り組んでいます。
――アスルクラロ沼津をサポートする理由、やりがいは?
まずは試合運営を支えている他のサポートスタッフを助けたいという気持ちがあるからです。それから、普通では体験できないJリーグの試合の裏側を見られることがおもしろいですね。例えば、試合に使用するボールの空気を入れたりもするんですけど、空気圧をきちんと測って何個も準備して…。「試合に使われているあのボールは自分が用意したんだ!」ってちょっとうれしくなりますね(笑)
――アスルクラロ沼津の魅力とは?
一つ目は、選手・スタッフをはじめチーム全員が一生懸命であること。チームスローガンである「全力アスル」の姿が、初めて試合を見たときからずっと変わっていません。チームを率いる吉田監督の、熱い思いが伝わることばにも毎回感動しています。
二つ目はチームが明るくてポジティブなこと。常に上を目指していて、ネガティブな要素が一つもないことですね。
――アスルクラロ沼津の試合を見たことがない人へメッセージはありますか?
サポーターの中にはサッカーのルールを知らない人もいます。サッカー関係なく「屋台に行ってみたい」「応援がなんだかおもしろそう」という気持ちで来ていただければOKです。
Youtubeで「アスルクラロ沼津 チャント集」※と検索すると応援歌が見られるので、事前にちょっとチェックしてみるといいと思います。
※チャント=応援歌・応援のかけ声
――サポートスタッフとして今後の目標は?
チームとしてはJ2そしてJ1昇格を目指すのですが、チームだけが大きくなるのではなく、地域のみなさんと一緒に歩んでいきたいと思っています。今はサポートスタッフを半年続けてみて自分なりに気づいた改善点をまとめたり、これからの活動に役立つマニュアル作りをしたりしているところです。今後も応援してくれる方たちが元気になってくれるよう、サポート活動を工夫していきたいと思っています。
サポートスタッフのみなさんには本当に感謝しています。試合を運営していく上で大切な方々で、とても心強い存在ですね。広いスタジアムなので私たちクラブスタッフだけでは目の届かない所もありますが、そこもしっかりとケアしてくれています。当日の運営のみならず、前日準備から片付けまでお手伝いいただけるサポートスタッフのみなさんは、まさにチームメイトです。クラブの成長に欠かせない存在ですね。
サポートスタッフには実は女性が多いんです。私の母や妹もサポートスタッフとして手伝ってくれています。父はシーズンチケットで毎回試合を見に来てくれるし、アスルクラロ沼津が家族間で共通の話題になっています。
誰でも応援に参加することができる、アットホームな雰囲気だと思います。例え選手がミスをしてしまったとしても、野次をとばすのではなく拍手で応援します。ゴール裏に行ってみてもらえれば、その雰囲気が分かると思いますよ。
――サッカー観戦が初めての方へ、おすすめの楽しみ方は?
スタジアムの外には「アスルキッチン」という飲食売店がたくさん出ているし、ステージやイベントなども行われていてお祭りみたいなんです!試合前から来てもらって、スタジアムで過ごす1日を楽しんでいただけるとうれしいです。
J2クラブライセンス基準というものがネックとなっています。ホームスタジアムである愛鷹広域公園多目的競技場がJ2に昇格するための基準を満たしていないんです。具体的には観客席は椅子席で1万席以上必要なことなどが挙げられます。
そこで私たちが目指しているのが、「愛鷹広域公園多目的競技場の改修」と「新しいスタジアムの建設」です。2017年7月31日に沼津市に対しスタジアム整備の協力願いと更なる支援に対する要望書を提出しました。
――私たちに何か応援できることはありますか?
沼津市への要望書提出と合わせて、スタジアム改修および新スタジアム建設に関する署名活動をしています。この署名活動にご協力いただくことや、試合の応援に来ていただくことが直接的な応援になります。一人でも多くのみなさんにアスルクラロ沼津に感心を持っていただくために、ご家庭の中などで日頃からアスルクラロ沼津のことを話題にしてほしいなと思っています。
オンライン署名はこちらから
「愛鷹改修および新スタジアムに関するオンライン署名について」
http://www.azul-claro.jp/information/34989/
――アスルクラロ沼津の今後の目標は?
まずはJ2ライセンス取得に向けて、静岡県東部地域の各市町と共に課題に立ち向かっていくことが大切だと思っています。私たちの使命はサッカーを含むスポーツを通じて、街を盛り上げていくことです。アスルクラロ沼津というクラブチームが、静岡県東部地域に存在すること自体が地域のみなさんの喜びに繋がればうれしいです。
スタジアムの外では屋台でハンバーガーを食べたり、イベントスペースでリフティング・ヘディングのスゴ技パフォーマンスを見たり。本当にお祭りのよう。ご家族みんなで楽しめると思います。
3月には2018年シーズンもスタート。ぜひみなさんもスタジアムに足を運んでみてはいかがでしょうか?
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取材・文=塩道 美樹 / 写真=アスルクラロ沼津、塩道 美樹
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