ザンビアやタンザニアをはじめとするアフリカの国々やネパールやミャンマーなどアジアの国々では、まだまだ女性の権利や人格が軽んじられている地域があります。ジョイセフはそういった地域の女性をとりまく環境支援や教育支援を行うだけでなく、男性に向けた啓発・教育活動も行っています。昔からの風習や伝統文化の中に根付いている女性差別もあり、人々の意識を変えることは簡単ではありません。しかし、ジョイセフはそういった地域の人々に時間をかけて語り掛け、彼らの意識を徐々に変えていけるような活動を行っています。私もアフリカやアジアの国々を訪れて直接人々の話を聞いたり、メディアと一緒に現地を訪れることで女性の置かれている現状を世の中に広めるお手伝いをしたりしています。
長く続く余震でトラウマを抱えて眠れない日々を過ごし、精神的に参っている人がたくさんいます。私たちは、特に女性たちがすぐに助けを求められるようなホットラインの整備を進めています。保健師さんや看護師さんに相談ができる環境を整えたり、助産師による赤ちゃん訪問(新生児のいる家庭訪問)を強化したり、どこでどんな支援を受けられるのかといった情報提供をしたりしています。
また、避難所で女性が安心して過ごせないという問題も発生しています。トイレが男女共用なのでそこで性被害に遭ったり、盗撮被害に遭ったり…。地震発生直後は、女性だけが利用できる女性専用スペースや洗面所を設けるなど、女性が避難所を安心して利用できるような環境作りも支援しました。
どんな支援団体にも意義があり、得意分野があります。緊急支援が得意なところもあるし、医療支援や食料の提供が得意なところもあります。私たちはメディア報道が少なくなって緊急支援が撤退した今だからこそ、女性の心に寄り添った支援を行っていきたいと思っています。
ジョギングや女性向けの講座・イベントなどを通して女性の健康美と知識向上を支援しています。実は、HiPsの活動のきっかけは東日本大震災なんです。
ジョイセフの支援活動の一環として被災地に入り、現地の生の声を集めてメディアを通して広めるという活動をしていた時のことです。
ある避難所の体育館で60代の女性にお話しを伺う機会がありました。その女性は当時ちょうど私と同い年、37歳の娘さんを津波で亡くされたということでした。娘さんは自分の3人の子どもたちと一緒に津波から逃げていました。3人のお子さんを高いところに避難させた後、自分はそこに登れずに子どもたちの目の前で力尽き、津波にのまれてしまったそうです。
お話をしてくださった女性に「だからあなたも、何かがあったときに子どもを連れて逃げられるだけの体力をつけておきなさい」と言われたことばが胸に響きました。私もその時3歳の娘がいたので、私も娘を連れて逃げられるようにしなければと。当時の私は今より体重が10キロも多くて、運動なんて全くしていませんでした。ぎっくり腰をくり返し、肩こりや頭痛もひどくて本当に不健康な体。「これでは娘を抱えて逃げるなんてできない…。娘も私も助けられない…。」そんな不安にかられて運動を始めました。

HiPsでは毎月定例の「満月ジョグ」やイベントによって得られた収益を東北や熊本の女性支援のために寄付しています。HiPsの活動は被災した女性のことばをヒントに始まったので、そのお返しをしたいと思っています。
「満月ジョグ」の参加費は100円ですが、それが女性支援に活かされることで、ただ単にみんなで走るだけの30分ではなくて被災地の女性を思いながら走る30分にもなります。自分のためだけじゃなく、誰かのためにもなっているというこの感覚。ダブルで気持ちのいいことだと思いませんか?
――HiPsの活動のひとつとして、以前エルスリーのインタビューにも登場いただいた酪農王国オラッチェさんとのコラボレーション企画があったそうですね。
このビールはオラッチェさんの工房にメンバーがおじゃまして、たくさんの種類のビールを試飲しながら作った自信作です!パッケージにも中身にも、私たちのこだわりがつまっています。
3カ月に1度くらいのペースで、三島で開催しているイベントです。東京などの都会には色々な人が集まって語り合う「ワールドカフェ」のようなものがあると思いますが、三島にはないなと思って始めました。地球について、世界について、未来について、みなさんと語り合う場を作りたかったんです。このイベントを始めてから分かったのですが、三島にも世界に興味を持って目を向けている方はたくさんいらっしゃるし、世界や未来のことについて語る場をみなさん欲していたんだなと実感しました。
私、“Think globally, Act locally.”という言葉が大好きなんです!出産するまでは途上国のことばかり意識していたのですが「ん?待てよ?私が生活を拠点にしているここ(ローカル)で、Think globallyな活動をしていない??」そんな自分に違和感を感じるようになりました。「もっと地域で子育てしている一生活者の視点で足元からできることがあるんじゃないか?」 とふと考えたんです。三島で世界について語る、こういう話をする機会を設けるだけでも何かが変わるだろうなと思い、このイベントを始めました。
「今まで出会ったことのない人に会いたい」という想いがあってスタートしたイベントですが、本当に様々な経歴の熱い想いを持った方々が集まってくれています。主婦の方、学校の先生、難民支援NGOにお勤めの方、青年海外協力隊の方…。お友達の紹介やFacebook、口コミなどで自然と集まったメンバーです。お料理を食べながら、お酒を楽しみながら異業種の方々との交流を楽しんでいます。
前回、2016年4月11日開催分はこちら
Meets Friends @JOICFP SPOT 静岡・三島
https://www.facebook.com/events/257338537933715/
――次々とアイデアを思いついて、それを形にしている小野さん。小野さんのエネルギー源は?
「人との出会い」ですかね。自分の周りの人たちは私にとっての財産です。人と話をすることで自分という人間が広がっていくし、「そういう考え方もあるのか」と学ぶことで自分という人間が濃くなれる気がするんです。色々な人に出会うことで自分が目指すものへの道が開けていくし、どういう道筋を通ればいいか教えてもらえます。自分一人で何かをやっている感覚は全くなくて、周りの人にゴールへの道筋を教えてもらいながら活動しています。
――小野さんは人々の中心にいて、ある人から得た情報を、また別のある人から得た情報と結びつけて何かを生み出す…。「ハブ」のような存在だなという印象を受けました。
確かにそうですね。”Meets Friends”の活動にも表れていますが、私は三島の人たちと外の世界をつなぐ役割をさせてもらっていますね。みなさんをつなぎ合わせる時に頂くみなさんからのパワーは自分自身にもチャージされるので、それが原動力になっているんでしょうね。
――既に三島で精力的に様々な活動をされていますが、これから三島でやりたいことはありますか?
世代間交流の機会を生みたいです。例えば、大学生の女の子たちが大人の女性たちと実際に会って、話を聞けるような場を作りたいなと思っています。大学にただ通っているだけでは違う世代の人たちと触れ合うことは少ないでしょうし、自分の将来の姿をイメージしづらいと思うんです。働く女性、子どもを産む女性、子育てしながら働く女性…。学生さんたちのロールモデルとなるような色々な女性たちに会ってもらうことで、世界にはたくさんの選択肢が広がっているということを知ってもらえるような機会が作りたいんです。
HiPsには学生さんも参加してくれているのですが、彼女たちはそこで出会う大人の女性たちが「自分が今までイメージしていた女性像と全く違う!」と言うんです。それまでは自分の母親ぐらいしか大人の女性を想像できなかったようなのですが、色々な人に出会うことで視野が広がったのではないでしょうか。
――「お酒で支援」といえばエルスリーで以前、Beers For Books(ビール1杯で100円寄付)というイベントを開催しました。
そうそう、そういうイベントです!「飲めば飲むほど社会貢献」というキャッチコピーがいいですよね!
次回はいつやりますか?ぜひ私もお手伝いしたいです!
- 今の仕事に就いていなかったら何をしていましたか?
助産師ですね。自分が子どもを産んでから気づいたのですが、命の誕生を手助けできる、世界のどこでもニーズのある素晴らしいお仕事ですよね。
- 過去の自分、未来の自分へのメッセージ
昔からよく「パワフルだね~」と言われます。ずっと変わらないと言われます。「小野美智代、いつまでたっても小野美智代」、小学校の文集に自分で書いたこの言葉が私の人生のキャッチコピーです(笑)
- アイデアが浮かぶ場所、リラックスできる場所は?
アイデアが浮かぶのは人と会っているときですね。打ち合わせ中や、他愛もない会話中に次の企画のアイデアが浮かぶこともしょっちゅうです。それから、友達とジョギングしている時(笑)
割とどこでもリラックスできるタイプの人間なのですが(今、このインタビュー中もリラックスしています(笑))、やっぱり家にいる時が特にリラックスできますね。
- HiPs 満月ジョグ
ジョギング初心者の方、自信のない方も大歓迎。途中で景色を楽しんだり写真を撮ったり一緒におしゃべりしながら楽しみましょう!
HiPs mishimaのFacebookイベントページをご覧ください。
https://www.facebook.com/HiPs.mishima/events
- Meets Friends
次回、2016年9月開催予定。
「地球人トーク」をしたい方、どなたでも歓迎です。
ジョイセフのFacebookイベントページをご覧ください。
https://www.facebook.com/JOICFP/events
- Floyd Cafe
今回のインタビューで使わせていただいたのはFloyd Caféさんです。
今の季節は緑に囲まれたテラス席もおすすめ。
https://www.floyd.jp/online_shop/shopcafe/#mishima
三島市一番町2-31 フォンテーヌu. 1F
TEL: 055-991-1881
Michiyo Ono
小野 美智代さん 国際協力NGOジョイセフ 市民社会連携グループ グループ長 HiPs mishima 代表/静岡県立大学 非常勤講師 1974年、静岡県富士市生まれ。 1998年、立教大学ジェンダーフォーラム勤務。 2003年、国際協力NGOジョイセフ勤務。 2005年、事実婚(夫婦別姓)を機に三島へ移住。 2013年3月11日、東日本大震災の2年後にHiPs始動。 2人の娘さん、同い年の旦那さまの4人家族。 三島から東京へ新幹線通勤を続けながら、世界中の女性への支援活動を行う。 公益財団法人ジョイセフ(JOICFP) https://www.joicfp.or.jp/jpn/ HiPs http://hips-net.org/ |
- 好きな本
ジャンルにこだわりなく何でも読みます。最近はTEDプレゼンターの方の本を読んだりしています。 - 聞いている音楽
洋楽が好きです。Jazz、スローレゲエ…家でよく聴いていて、お酒も進みます(笑)