そこで営業管理部長をされている西村さんのお仕事はどのようなものでしょうか?
外に物を売る営業活動はもちろん、集客営業や施設管理、動物や畑の管理まで何でもやっています。マネジメント活動全般ですね。
あちこちに顔を出して新しい人脈作りや販路・チャネルの開拓もしています。
「オラッチェにはおもしろいふざけた奴がいるな」って思って来てもらえればいいですね!自分を露出して宣伝して、オラッチェのことを知ってもらえればうれしいです。ようやく「オラッチェの西村」というものが認知されてきたので、部下たちにも「オラッチェブランドを広げるためには自分が宣伝マンにならなきゃだめだよ」と伝えています。
みなさんにそう言ってもらえます。どこへ行っても声をかけていただけるようになって。Facebookは情報発信ツールとして本当に便利だし、友達やお客さんとのコミュニケーションもとれます。ビジネスツールとして世界中で使えるものですね。
――プライベートも公開してらっしゃいますが、抵抗はありませんか?
自分を全部さらけ出すことで自分を知ってもらいたいと思っているんです。初めてお会いする方にもこういう奴だって分かってもらっていれば話も早いし、格好つけてもしょうがないですよね。裸の状態でお会いするのがいいのかなって。もちろんこういう行動には賛否両論ありますから、家族が傷つかないように気を付けています。
中華圏へ向けての乳製品出荷が今は中心ですね。香港へ行くことが多くて2ヶ月に1回くらい出張しています。向こうでは中国語ではなくほぼ英語を使うので、通訳をつけています。前の仕事でも英語を使っていたんですが、もうすっかり忘れちゃっていて…。勉強しようと思って「三島Englishクラブ」※にも通っていたんですが、出張などで時間が取れなくて今はお休みさせてもらっています。クラスは楽しかったし、レッスン料も安かったのでよかったんですが。レッスン以外のパーティーなどのイベントも多くて、人との交流ができるところがすごく楽しかったですね。
※三島Englishクラブ
エルスリーが開催する「話したい人のための」英会話
――香港で営業するとき、日本との違いは感じますか?
台湾とかバンコクは親日の雰囲気が強いんですが、香港は違いますね。色々な人種の人がいてビジネスチャンスは多いけど商売に関してはシビアです。良いものはもちろん買ってもらえるけど、中国のように「日本のものだったら何でもいい!」というような単純な文化じゃありません。香港にはものすごくお金持ちでハイクラスな人もいるし路上生活者もいる。ターゲットを絞るのが難しいですね。
すごく売れています。毎週1回、飛行機で10ケース120本ほど運んでいます。日本で250~300円で売っているものとパッケージも中身も全く一緒なんですが、輸送コストがかかって1300円になってしまうんですね。それでも毎週完売、品切れ状態です。香港には乳製品の加工施設が少ないし、牛の飼い方のノウハウもあまりなくて、良い乳製品がないんです。牛乳もロングライフという常温保存タイプのものが主流で、人々は新鮮な牛乳に飢えているんです。いま僕らが取り扱っているのはヨーグルトだけですけど、これから範囲を広げていこうと思っています。
――海外の方とコミュニケーションを取る上で気を付けていることは?
日本人と違って、向こうの方はとにかく目を見て話しますよね。短時間でどれだけ思いを伝えて勝負できるかが肝心で、時間の使い方が上手だと思います。何を伝えたいのか、例えばうちのヨーグルトであれば無添加であることを、目を見てはっきりと伝えるようにしています。
「柵のないテーマパーク」が基本です。ここに閉じこもっていないでどんどん外へ出よう、外からここに来てもらおう、全てはそこから始まると思います。
以前はオラッチェの周りに柵があったんですけど、取り払っちゃいました。柵なんていらない、ここ丹那盆地全体をオープンなテーマパークにしていきたいんです。
オラッチェができて10年くらいかけてやっと、地元の方たちと共同でお仕事ができるようになってきました。地元の農家の方々に野菜を作っていただいてオラッチェがそれを買い取ったり、一緒にイベントを企画したり。たまにはそれが儲けにならなくたっていいんです。農家の方々の収入が上がって利益になるのであれば。オラッチェがここにいさせてもらっている以上、それは必要なことだと思います。オラッチェだけが一人勝ちするのではなく、みなさんにかわいがってもらえる存在にならなければ、僕たちだけでは何もできないですからね。
また、オラッチェでは色々な業種と垣根を越えたコラボレーションや新商品の開発もしています。
――ビューティークリエーターの TAKAKOさん※とのコラボレーションもされているそうですが。
TAKAKOとは古いつながりで、今は家族ぐるみでお付合いをする仲なんです。一緒に”La Fée Mont”(山の妖精)というオリジナルのブランドを立ち上げました。
静岡発の「ビューティー」を目指しているんです。静岡の「食」や「運動・健康」はだいぶ浸透してきたので次は「ビューティー」を仕掛けたいですね。僕も「ビューティー」のために、雑誌読んだり妻に聞いたりして勉強してますよ~(笑)
オラッチェのショップではTAKAKOプロデュースのはちみつを販売していて、これからはちみつの化粧品も作りたいですね。簡単なメイク講座なんかのイベントもTAKAKOにお願いしてやっていきたいと思っています。他にも静岡のだいだい(みかん)から絞ったアロマオイルを使った化粧品やお砂糖を使ったシュガースクラブを開発中で、年内に発表予定です。
※ビューティークリエーターTAKAKO
雑誌をはじめ、広告やテレビで活躍するヘアメイクアーティスト。
多くの有名ミュージシャンや女優、文化人のヘアメイクを手がける。
http://www.soul-family.net/
動物と触れ合ったり畑で芋掘りしたり、家族の輪が広がるような情報発信ができる施設にしたいですね。こどもが楽しめる施設はもうできているので、これからは大人も楽しめるような雰囲気・商品作りをしていくことがテーマです。大人の女性が楽しめる、アクセサリー作りのワークショップなど大人向けのイベントも開催したりしていますので、ぜひみなさんで楽しんでもらいたいですね。
他の業種の方で、オラッチェと何かコラボレーションしたい方もお待ちしています!
ここを伊豆半島の農産加工品の発信拠点にしたいです。例えばうちでは「風の谷のビール※」を作っていますが、うちのショップでは他の所で作られている地ビールもたくさん取り揃えているんです。そうするともちろん、うちのビール単体の売上は落ちるんですけど、ビール全体の売上は上がるんですね。そうやって自分たちの商品だけじゃなく良いものは取り入れていって、全体を盛り上げていきたいんです。
それから、こういった良い商品を海外に出すルートも作っていきたいとも思っています。静岡には海のものも山のものも、良いものがたくさんあるじゃないですか。海外へ向けて売りたい人もたくさんいます。僕のところに卸してもらえればワンストップで海外へ出せるような仕組みを作っていきたいです。今は静岡空港を使ってそれを実現しようと動いているところです。
これは今でもやっていることなんですが、いわゆるB級品・C級品と呼ばれて捨てられる運命にある農作物を適正な価格で買い取らせてもらう仕事もしています。曲がったキュウリをお漬物に加工したり、見た目の悪いみかんをジュースにしたり。そういった拠点にもしていきたいですね。
※風の谷のビール オーガニックピルスナー
ASIA BEER CUP 2015ライトラガー部門で銅賞受賞。
もうひとつの夢は、オラッチェに障害者の働く場所を作ることです。その人たちがきちんと自立して生活していけるような適正なお給料をお支払して。
実はこの盆地って路線バスがないんですよ。お年寄りは病院に行くのにタクシーを使わないといけないし、高校生の通学は親の車での送迎か自転車です。雇用を作り出して、人の出入りが増えてくれれば路線バスも復活するかもしれないですよね。
夏は暑くて冬は寒い盆地ですが、景色もきれいだし丹那は本当にいいところなんです。こんなにいい所だから、もっと住む人・来る人が増えてほしいですね。
- 今のお仕事に就いていなかったら何をしていましたか?
コピーライターになりたかったです。ことばを作るのが好きで、大学を出てから専門学校でそういった勉強もしました。いまは宣伝のお仕事をしているので、その経験が少しは役に立っているかなと思います。 - アイデアが浮かぶ場所・リラックスできる場所は?
仕事から家へ帰る車の中でアイデアが浮かびますね。ドライブではなく、必ず仕事帰りなんです。仕事でインプットしたことを整理しているのかな?
心休まる場所はリビングの床ですね~。ソファーは(妻と娘に)占領されていて座れないので、床が一番いいです(笑) - 過去の自分・未来の自分へのメッセージは?
過去の自分はネガティブで諦めることが多くて本当に嫌でしたね。自分にはできないってすぐに判断しちゃって。それがある日、妻と話していて考えが変わったんです。妻は正反対で明るくて「やってみないとわからないでしょ」というタイプ。そこからは「無理だ」って絶対に言わないようにしています。そうすると良い結果もついてきましたね。
これからも有言実行でいきたいですね。「絶対成功する」って自分に言い聞かせて、5年後のなりたい姿をイメージしてブレないように行動したいです。
模擬店あり、プレゼントありのイベントです。乳製品や地元の新鮮な野菜の販売も。
ぜひご家族みなさんでお越しください。
- 好きな本
「客家(はっか)大富豪の教え」 甘粕 正(著)
何度も繰り返し読んでいて、出張に行くときも必ず持って行きます。仕事に悩んだときにヒントになることがたくさん。人への気遣い、仲間意識について、ビジネスに関することなどが書かれています。 - 聞いている音楽
歌のないジャズとかを聞いています。ことばがない音楽が心休まります。
http://oratche.com/
西村悟さんFacebook
https://www.facebook.com/terry960